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意外に知らないフィルター交換のタイミング



サンアントニオでは、多くのご家庭が軟水器と逆浸透膜純水システム(Reverse Osmosis(RO))を導入されておりますが、フィルターやろ材は、いつ交換すればよいのでしょうか?業者に言われるがままに購入して交換をされているという方も多いのではないかと思います。そこで、今回は、2回にわけて、ROと軟水器についての意外に知らないフィルター・ろ材交換のタイミングをそれそれの機器の機能をご紹介しながら、解説していこうと思います。


本題に入る前に、両機器の特徴について、簡単に触れていきたいと思います。軟水器は水の固さの原因になる「カルシウムとマグネシウムを取り除き、ナトリウムに交換するもの」、ROは「Membraneと呼ばれる膜で、水の分子だけを取り出すもの」と考えれば、分かりやすいと思います。


ただ、それぞれの機器には、できること、できないことがあります。以前のブログで、「軟水器を導入しているから水がきれい」という「あるレストランシェフの勘違い」という記事を書きましたが、軟水器では水はきれいになりません。それぞれの機器には、「できること」、「できないこと」が明確に分かれています。ですから、機器を導入する際は、目的に応じた機器の選択をしっかりとすることが大切です。


軟水器とROの特徴を簡単にチャートにまとめました。今回は、ROの機能についてひとつひとつ触れていきたいと思います。


ROは、飲料水や料理に使う水など、「飲用」するための水を作るためのものです。ROは、「TDS」が示す通り、ほぼ純水に近い水を精製できるため、硬度の原因となるカルシウムやマグネシウム、そして、匂いの原因となる塩素、浄水場で浄化できなかった不純物や、水道管を通して混入する銅、鉄、バクテリアなど、ほぼすべての不純物を取り除くことができます。


ROは、こうした優れた浄化能力を兼ね備えている一方で、一度にごく少量の水しか作れず、作った純水をそのまま蛇口に出しても、水量が限られてしまいます。そのため、作られた純水は一旦、別のタンクに貯められ、蛇口から出てくる水は、タンクから供給されています。なお、タンクがいっぱいになるとROシステムは水圧で自動的にバルブを閉め、それ以上、純水は作られなくなります。


また、ROは、純水を作ると同時に、純水と同量かそれ以上の水を汚水として排水ししています。以下の図が示す通り、純水は、膜の中央から採取され、汚水は、膜の外側から排水されています。


ROは、おおむね、いくつかのフィルターで構成されていますが、大別して以下の4つを備えています。

(1) Sediment Filter(沈渣フィルター)

(2) Pre-carbon Filter(前活性炭フィルター)

(3) Membrane(膜)

(4) Post Carbon Filter(Inline Filter)(活性炭フィルター)


(1)Sediment Filter(沈渣フィルター)は、スポンジ状のフィルターでポリプロピレンなどで作られており、水中の溶解していない物質を引っ掛けて除去します。ROシステムでは、システムの最初に取り付けられ、不純物の粒子を物理的に捕まえます。5ミクロンのタイプのSedimentが多く使われています。


(2)Pre Carbon Filter(前活性炭フィルター)は、塩素や(揮発性)有機化合物を吸着して取り除きます。この有機化合物は、主に匂いの原因となるものです。


(3)Membrane(膜)は、純水を作る肝になる部分です。膜の穴の大きさは、0.0005ミクロンと非常に小さく、水の分子しか通しません。このため、ほぼ純水に近い水を作り出し、不純物が含まれた水は、汚水として別のホースから排水されます。


(4)Post Carbon Filter(活性炭フィルター)は、システムの最後に取り付けられ、水の味や匂いを整えます。


SedimentとPre-Carbon、Post-Carbonフィルターは、目詰まりを起こすタイミングがフィルター交換の時期です。また、Membraneは、純水を作ると同時に汚水を随時排水しているために、毎年の交換は必要ありませんが、およそ3-5年で精製能力が落ち、交換が必要となります。


それぞれのフィルターの交換の目安は、機器によってまちまちですが、それぞれのフィルターの機能が異なるため、水道水の品質により、交換時期が違うというのが真相です。SedimentとPre-Carbon、Post-Carbonフィルターは、先に述べた通り、目詰まりが交換のタイミングですが、これらフィルターは、外から一見しただけでは目詰まりしているわかりません。そのため、それぞれのフィルターに記載されているタイミングで、定期的に交換をしたほうがよいでしょう。


Membrane は、水の純化をしている肝の部分ですが、以前ブログでご紹介したTDSメーターでRO水のTDSを測り、数値が極端に高くなってきたら交換のタイミングです。このタイミングを把握することで、Membraneの性能を理解でき、水がきちんと浄化されているかを確認できるので、安心して水を飲むことができます。


最後に、ROシステムは、一度に少量の水しか貯めることができないため、通常、食器洗浄などに使う水道水の蛇口とは別の蛇口を取り付ける必要があります。場合によっては、キッチンの天板に穴をあける必要があり、工賃は別見積もりになります。RO本体の設置場所は、シンクの下など限られたスペースでも取り付けることが可能ですが、タンクが少し大きめ、若干のスペースが必要です。シンクの下が半分以上空いていれば、問題なく設置できます。


このようにRO水は、非常に純度が高い水を得られる一方、一度に作られる水がごく少量であること、そして、作られた純水の半分以上の水を排水しなければいけないといったデメリットがあります。実は、Membraneを二重、三重にすれば、さらに多くの純水を得られ、排水される汚水を少なくすることができるのですが、導入コストを鑑みるとメリットは大きい言えず、一般に売られているROシステムは、ひとつのMembraneを搭載しているものがほとんどです。

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